「80歳の壁」を超えて

「80歳の壁」(和田秀樹 著)を読みました。
私が日頃、感じていることがいろいろ書かれていて
「うん、うん、そうですよねー」と納得のゆく内容
でした。

例えば「80歳をすぎたら健康診断はしなくて良い」とか。
80を過ぎれば何もない人はまずいない。どこかに病気の種を
持っています。それをほじくり出して、検査を繰り返したり
手術をしたり(病変を見つければ、医者は何もしない訳には
いかない)することになるのですが、それが必ずしも
その人にとって良いとは言えない、ということです。

先の長い若い人なら早期発見も意味があるでしょうが、
高齢者の場合、先がそんなに長い訳ではないし、病気の
進行が遅いことも多い。自分で異変を感じるまで今の生活を
続けた方が幸せ、というのが先生の考え方です。
もちろん、考え方は人それぞれですから70でも80でも
私は欠かさず健診する!と決めている方はそれで良いと
思います。
ただ私はこんな経験をしてから考えが変わりました。

80を過ぎた姑が胃癌になり、夫と妹は手術を選択したのですが
開腹したら周りに転移していて手術出来なかったため、結局
何もできずにお腹を閉じました。
姑はただ痛い思いをして大嫌いな病院に何日も入院した訳です。
あれは本当に可哀想でした。
その件があってから高齢者への手術は、よほど慎重に考えなければ
ならないなぁとつくづく思いました。

また、和田先生は「楽天主義は高齢者にこそ必要」と書いています。
それも全くその通りだと思います。
身体に不安を抱えれば、先のことを心配して気分が暗くなって
しまいます。
明日、来週、一ヶ月先には何が起こるか分かりません。
だからこそ、今を1日でも1時間でも楽しく過ごさなくては
勿体ない。
そう考えるようになってから、夫に対しても少し(笑)優しくなれた
気がします。この人とこうやって笑いながら食事することも
いつまで続くかわからない。
日常の他愛無い会話ができることが何より幸せなんだなぁ・・・と。

Xdayは いつか来るでしょう。でも、それは今じゃない。
そう思って毎日を大切にする事が、今の私に出来ることです。

夫の介護認定は要支援2と決まりました。
ケアマネージャーさんも決まり、来週打ち合わせに来てくれます。
何よりもまずはリハビリ(身体を動かす)のことを相談したいと
思っています。


我が庭の梅の最初の一輪が咲きました。
春はもうすぐですね。

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コメント

No title

ブログを拝読しながら、こちらも、先に旅立たれた恩師や家族や身内のあれこれがよぎりました。
ご主人に先立たれた人が、癌を「自分が逝くためのもの」と受け容れて、終末期医療だけを受けてご自宅で旅立たれたり、骨折しても治って帰宅し最終的に自宅で旅立った人や、家で最期を迎えたいと願ったけれど家族が怖がって救急車を呼んで結局病院で延命の末に旅立った人などなど。。。いまは米寿を超えて今も一人飄々と暮らしている相方のおばちゃんの行く末を気にかけています。
この先もお二人さま、仲良くお過ごしください。どうぞご自愛くださいませ。

Tomokoさま

人生人それぞれですが、自分が納得のゆく最後を迎えたいなぁと思うこの頃です。
家族の思惑もあってなかなかそうはいかないのが、現実でしょうが・・・。
ただ延命治療はお互いやめようね、というのが夫との申し合せです。

「この先もお二人さま、仲良くお過ごしください」
ありがとうございます。
結婚して42年、今が一番2人の間で静かな時間が流れていると思います。

No title

まあ、ご主人さま 要支援2なんですね。
でも結果が出て良かったですね。
いろいろとこれから相談できますもんね。

我が家も5年先10年先はわからないですけど
少しでも現状維持を続けられたらいいなと思います。

No title

お書きの通りだと思います。
高齢期の医療については、安らかに旅立つために
果たしてどこまで必要かと、何人かの身内の最期に
臨んで思いました。

80歳というのは適切な転機ですよね。
苦痛を取り除きQOLを維持するケアは受けても、
切ったり貼ったりは負担が大きすぎます。
病と上手に付き合って穏やかに過ごしたいものだと、思うところです。

要支援でデイケアでのリハビリを、ご主人様がポジティヴに楽しまれますように。
そして、お二人の静かな時間が続きますように。
朋百香さまも余寒の日々、どうぞご自愛くださいね。

香子さま

はい、不自由な身体で自分の出来ることを、と
頑張ってくれています。私だったら心が折れてるだろうなぁ、と感心します。
自己肯定力が強い、というのはこういう時には助かりますね。常に前向き。
今、夢中になっているのは土、日の競馬です。
頭の体操になってるみたいです。

セージグリーンさま

暖かいお言葉、ありがとうございます。

初めはこんな事も出来なくなっちゃたの?と、ショックでしたが、今はまだまだこんな事も出来るのね。と前向きに捉えています。

歯が丈夫なのには助けられています。
なんでも食べてくれますから。
今の所、全部自分の歯です。
歯って大事ですよね。

No title

「70歳が老化の分かれ道」の後、「80歳の
壁」を続けて読みました。
朋百香さんのご主人様は要支援2だったのですね。比べるのもなんですが、うちの場合は要介護3。ご主人、まだまだお元気じゃないですかい!色々あっても今が一番、いつもそう思います。

まるたけさま

「70歳が老化の分かれ道」読みたいと思ってました。早速、注文しよう!

まるたけさん、偉いわ〜。お着物着てお茶会もなさってるし、車椅子のご主人連れて美術館。
私は非力なので、重たい主人を乗せてあちこち行くのは無理!です。(トイレ問題もありますし・・)
「まるたけ先輩」がいてくださるので、私も頑張れます。

なにしろ加速して老化(主人の)が進んでいる気がします。ふと見るとうつらうつらしている事が多くなりました。これが80を超えるって事なんだなぁとつくづく思います。
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プロフィール

朋百香(tomoko)

Author:朋百香(tomoko)
1955年埼玉県生まれ東京育ち。
幼少時から学生時代は、水彩、
油絵を学び、結婚後は子育てを
経てのち植物画に魅了され、
個展やグループ展にて発表。
イギリスのフィンドホーンへ
の旅をきっかけに自己の内的
プロセスを描写する、様々な
素材を用いた独自のミクスト
メディア作品制作に入る。
現在は和紙に墨、アクリルで
墨アートを表現している。
神奈川県在住。

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