2013/06/28
真剣な遊び
パリから嬉しい知らせ、今年もサロン・ド・トーヌから「ADMIS」(入選)通知が
届いた。
今年、審査に出した作品は「そして天使は吸収された」
気をてらったようなネーミングだが、そうではなくて
ありのままを題名にしたものだ。

「そして天使は吸収された」
縦107センチ×横74,2センチ
ミクストメディア
実はこれは2枚の絵を合わせたもの。
「窓」の絵に別に描いた「天使」の絵をバラバラにして
コラージュしたもの。
つまり、その事をそのまま題名にしたものであって、ごく
単純なネーミングなのだ。
もともと どちらも抽象画なので「どこが窓でどこが天使なの?」と
見て頂いてもわからないだろう。
強いて言えば、左上と右斜め下辺りに天使の羽らしきものが
見えるかも・・・。
なぜそんな事をしたのか?と問われても答えに困る。
「遊んでみた」というのが、一番近いだろうか。
しかしいい加減ではなく、「真剣な遊び」だ。
色彩の美しさや複雑さ、そしてあり得ない組み合わせ、それを
1つの画面の中に表してみたかった。
言葉にすれば そんなところだろうか。
今回も和紙と墨はふんだんに使っている。
絵の具はアクリルだが、和紙と墨を一緒に使うことで、洋の
絵の具も不思議と東洋的な雰囲気を醸し出す。
特に多く使ったのはティファニーブルー。
和名で言えば瓶覗(かめのぞき)とか白群(びゃくぐん)が
近いだろうか。
金彩も施しているので、光の当たり具合で表情が変わる。
こういう絵は最初に構図を決めずに描きながら全体を構成して
ゆくので自分でも出来上がってみないと、どうなるのか分からない
という楽しさがある。
ナンセンスという言葉が似合うのかもしれない。
どんな馬鹿げた発想の中からも 絵は生まれるのだ、という
証明(?)
自分の頭の中を柔軟にするのには良い訓練だったかもしれない。
日本のオバサンのユーモアを感じ取って頂けたのか、
この絵を選んでくださったフランスの審査員の方達には心から
感謝を申し上げたい。
サロン・ド・トーヌとは
アカデミックな具象作品で知られるフランス最古の伝統を持つル・サロン
に対して、前衛傾向の現代絵画の中核的サロン。
毎年定期的に開催され、フランス語で「秋季展」の意味をもつ。
1903年百貨店「サマリテーヌ」の建築家フランツ・ジョルダンが筆頭となり
マチス、ルオー、ボナール、フリエスらによって創立された。
後にドランやブラックなども参加。
フォービズムやキュービズムの画家たちの活躍の舞台となり、近代絵画史上
に大きな奇跡を残した。
作品については主として抽象傾向と言われている。
*この絵の著作権は朋百香にございます。
無断使用、転載はかたく禁じます。
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