日本民芸館を訪ねて

樋口可南子さんが「琉球美絣」と呼ばれる美しい木綿の黄色い絣を
纏って日本民芸館に佇む姿を本で見たのは何年前だろう?
その時 初めて駒場に日本民芸館というのがあるのだと知った。

きもの友達の岡田知子さんに誘われて秋のうららかな日、
「朝鮮時代の絵画展」に行ってきた。

入ってすぐ 正面の大きな階段、そうそう可南子さんはここに立って
いたのだ。

飾られている器や布も美しいが、昭和11年に建てられたというその
建物の美しさは「そこに住んでしまいたい」と、思うくらい。
民芸運動家、柳宗悦により企画され 多くの賛同者の援助を得て開設
したのだとか。
よくぞ 建ててくれました、という館だ。


さて、「朝鮮時代の絵画展」の感想は、と聞かれれば一言で言って
おおらか・・・だろうか。
李巌(リガン)という突出した絵描きがいるかと思えば、遠近感のない
子供の落書きの様な絵もあり、文字絵あり、妙に漫画チックな鳥の絵あり
何とも奇妙な世界だ。
まあ、こういう絵は頭を抱えず 楽しむに限るのだろう。

朝鮮時代の陶磁が飾られた部屋もある。
陶磁といえば、忘れられないのが 京都に「素夢子・古茶家」という店があり
そこで韓国のおそばを食べた時のこと。
なんとも時代物の青磁の器におそばが入ってきたのだが、色といい形といい
一目惚れしてしまって「この器、譲って欲しい」とお願いしたことがある。
すると返ってきた言葉が「これは何百年も前の沈没船から 引き上げたもので
数に限りがあるので お売りできません」というものだった。

陳列棚の中の青磁の器は、あの「素夢子」の器と共通するニオイがあった。
これも もしかしたら、沈没船の中から・・・なんて、勝手に妄想して
楽しんだ。ロマンだな~。


日常の喧騒を離れ、時間をもタイムスリップして ゆったりと過ごせたこの貴重な
ひとときに感謝し、誘ってくれた岡田さんに感謝して帰途についた。
日本民芸館、また訪れたい場所だ。




111026_113521[1]
岡田さんのきものは、憧れのざざんざ織り。
光沢の美しい焦げ茶の中にずり出しの様な黒の横糸が見える。
帯はオレンジの八寸。きものとの相性はバッチリで模様もおもしろい。
彼女はこういう帯を見つけてくるのが、お得意だ。




111026_163355[1]
私は姉からもらったオレンジ系の大島。
帯は上原美智子氏の透かし吉野織り。
私が持っている中で、たぶん一番締めやすい帯。






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プロフィール

朋百香(tomoko)

Author:朋百香(tomoko)
1955年埼玉県生まれ東京育ち。
幼少時から学生時代は、水彩、
油絵を学び、結婚後は子育てを
経てのち植物画に魅了され、
個展やグループ展にて発表。
イギリスのフィンドホーンへ
の旅をきっかけに自己の内的
プロセスを描写する、様々な
素材を用いた独自のミクスト
メディア作品制作に入る。
現在は和紙に墨、アクリルで
墨アートを表現している。
神奈川県在住。

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