哀愁のカラムシ

昨年9月に一目ぼれして、山本きもの工房さんに
お仕立てをお願いしていた宮古上布が仕上がってきた。
そう、あれから8カ月。
「上布積立」を始めて、コツコツ、コツコツ。
時には挫折しそうになりながらも、元来の生真面目が
幸いして(?) めでたく宮古ちゃんをお迎えに。

深~い藍の地に並ぶ絣柄は、決して華美ではないが、
人の手作業の美しさに感嘆するばかり。
宮古上布の原料となる苧麻(ちょま)は、イラクサ科の
多年生の低木で別名を「カラムシ」という。
カラムシ・・・何とも魅力的な響き。

琉球藍は本土の蓼藍とはまた違った、独特な黒味を帯びた青。
藍作りは、かなり重労働で、今では生産者も減ってきたそうな。
そのうち、いなくなってしまうのかもしれない。

染色だけではない。
糸を績み、織るという高い精度を要求される気の遠くなる作業は
かって人頭税と呼ばれる、過酷な沖縄の歴史をも包括して
その美しさは憂いを帯びている。

「蝉の羽根」と称される宮古上布の信じられない薄さ、軽さは
そのまま その儚さと繋がって「滅びの美学」を奏でているようで
手を通す前から、愛おしさを覚える。

さて相変わらずの山本さんのきめ細やかなお仕立て。
これもまた、布を愛してやまない彼のこだわりが、随所に
散りばめられていて、私の宮古ちゃんはまさに芸術品となって再誕生した。


110430_132310[1]
このきもの、僅か
320gしか
ないのです!


110429_151914[1]
この日のきものは、
久米島紬と
島仲由美子さんの
グンボウの帯。
南の島の最強デュエット
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プロフィール

朋百香(tomoko)

Author:朋百香(tomoko)
1955年埼玉県生まれ東京育ち。
幼少時から学生時代は、水彩、
油絵を学び、結婚後は子育てを
経てのち植物画に魅了され、
個展やグループ展にて発表。
イギリスのフィンドホーンへ
の旅をきっかけに自己の内的
プロセスを描写する、様々な
素材を用いた独自のミクスト
メディア作品制作に入る。
現在は和紙に墨、アクリルで
墨アートを表現している。
神奈川県在住。

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