攻防のはて

ここ暫く、日本蜜蜂のこと書いてません。
なぜなら毎年最後は決まって、スズメバチに巣が襲われて悲しい結末を
迎えるから。

相変わらず、長平庵の床下とか軒下から入った所に日本蜜蜂は巣を作るの
ですが、今年も例年と同じ結末でした。
日本蜜蜂も力の限り応戦したとみえて、ことしの戦場後はおびただしい死骸の山
でした。
その中にスズメバチの死骸もチラホラ。

スズメバチ

憎っきスズメバチではありますが、彼らもまた懸命に生きようとしているので
あります。以前はこんなにスズメバチも多くなかったので、異常気象のせいでしょうか?
それとも人間が山を切り崩すので、日本蜜蜂もスズメバチもこんなに人のいる所まで
降りざるを得なかったのでしょうか?

蜜蜂は蜜を蓄えて越冬しますが、スズメバチは蓄える習性がないので生き残るのは
冬眠する女王蜂のみ。あとは冬になれば死んでしまうと聞きました。
これもまた、生き物の「哀れ」ですねぇ。

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厳しい掟

長平庵の軒下と床下に巣を作った日本蜜蜂を見守り続けて
数年たったが、こんなことは初めて。


ミツバチの巣、木の枝

何と分峰した蜂がこともあろうに、木の枝、それもすぐ手が届く
場所に巣を作ってしまった。
しかし、日は当たるし、雨も当たるしで都合が悪かったらしく、
巣は放棄されてしまった。
その木のすぐ下、マンリョウに百匹くらいが固まっていた。

            固まるミツバチ
固まっている蜂達が見えるだろうか?


いったいこれは何事?と、我が日本蜜蜂の師、渡辺先生に
早速ご連絡。
飛んできてくださった先生曰く
「これは、はぐれ蜂ですね」
おお、また新しい言葉だ「はぐれ蜂」
つまり、春の分峰で飛び立った女王蜂や他の蜂達について行けず、
あるいははぐれてしまい、結局元の巣に戻ろうとしたが、1度出た蜂は
巣に入れてもらえず、巣の近くでこうして固まっているという訳。
このままでは生きてゆけず、いずれは死んでしまう運命。

だいたい蜂の世界は女王蜂がすべて。
女王蜂がいなければ、ただの烏合の衆なのだ。

この日、先生から興味深いお話を伺った。
春になると新しい女王蜂が誕生し、古い女王蜂は2から3千の蜂を
従えて新しい場所へと旅立つ。

その時に備えて女王はダイエットして体をスリムにしておく。
なぜかというと誰よりも早く飛ぶ為だ。
この女王に追いついたオス蜂だけが空中で交尾出来るという。
女王は2、3百のオス蜂をあらかじめ生んで育てておく。
オスは交尾の為だけに必要な存在。
交尾出来たオスも出来なかったオスも末路は同じ。
死あるのみだ。

毎年、分峰の頃 巣の前に黒っぽい蜂の死骸がたくさん落ちていて
不思議に思っていたのだが、これは1度は飛び立ったオスが
交尾できなかった、あるいは追いつかず諦めたか、元の巣に
戻ってきたが、やはり中には入れてもらえず、死んでしまった
その残骸という訳だ。

渡辺先生がボソッと一言
「蜂のオスじゃなくて良かった・・・」
笑えない。
厳しい世界だ。

女王蜂は自分の巣のすべてを把握していて、集めた蜜が
少なくて、この冬が越せないと判断すると、働き蜂を噛み殺して
間引きするのだそうだ。
あの「みなしごハッチ」の優しい女王蜂のイメージが音をたてて
崩れた・・・。
自然て残酷なのねぇ・・・。


枝から取った巣
蜂さんの置き土産。
この美しい巣の中には出来たばかりの蜜がトローリと入って
おりました。もちろん、美味しく頂きましたよ、命がけで蜂さんが
集めてきた蜜ですもの、感謝を込めて・・・ね。







ネイチャーワールド・その2

自然界のことは、静かに見守らなければいけない。
よく分かっているつもりだったが、スズメバチの偵察が
長平庵の巣の方にも飛んできたのを見た時には、頭に
血が上ってしまった。
まだ1匹だ、今のうちに何とかしなければ・・・。
私の和蜂の師であるW先生に即、ご相談。
「良い方法があります」という心強いお言葉。
そして今朝、早速先生が、秘密兵器を携えて出動と
相成った。

それは、日本蜜蜂だけが通れる装置(装置と言っても
木と細い棒で作られた簡単なもの)を巣の入り口に
取り付けるという方法だ。


w先生1
床下の巣の入り口に装置を付けるW先生。


棒と棒の間が狭いので(牢屋の窓みたい)体の小さな日本蜜蜂しか
巣に入れない。


w先生2
こちらは軒下の巣の入り口。
ここは小さな板を貼って巣の入り口を狭くした。

こうした作業中にも中くらいの大きさのアカバチが偵察に来ていた。
しかし、これで一安心。
どんな蜂が飛んで来ても絶対に中には入れない。


スズメバチ
こちらは悪名高きスズメバチ。
先生持参のベタベタシートに引っ付いている。
不思議なもので1匹が捕まると、助けようとするのか
匂いで寄ってくるのか、何匹か飛んで来てまた付いてしまう。
何か可哀想な気もするが、W先生は冷静な口調で「見せしめです」と
おっしゃった。これを巣の近くに置いておくと、警戒してスズメバチも
近づかなくなるか、又は近づいたものは、同じ運命をたどる事になる。

さあ、これで出来ることはやった。
これで今夜はぐっすり、眠れるだろう。
W先生、ありがとうございました。



さて、前記事のコメントにご質問がありましたが、もうこれからは
涼しくなってくるので、スズメバチは数を減らしてゆき、女王蜂も
卵を生まなくなってくるそうです。
持ち帰った「エサ」は女王蜂の越冬の為と働き蜂達のエサとなるそう。
女王蜂が冬ごもりして、エサも底をつくと働き蜂達は統制を失って
バラバラになり、やがて死んでゆくのですね。
同じ「蜂」と名が付いても、種類が違うと随分と習性も違うものです。


スズメバチ豆知識
今回、和蜂の巣に入ったスズメバチがカチカチと音をたてるのを
聞きました。これは、彼らの威嚇の音で「攻撃するぞ!」という
合図なのだそうで、これを聞いたらそーっと後ずさりしながら
その場を離れるのが一番。
騒いだり、振動をたてず(蜂を刺激するので)速やかに遠ざかる方が
良いですね。
もし、スズメバチに刺されてしまったら、指でつねって毒を出すこと。
(口で吸って出さない)抗ヒスタミン軟膏か、ステロイド剤を
応急処置に塗って、すぐ病院に行くこと。(猛毒なので、軽くみない)





ネイチャーワールド

咲かない、咲かない・・・と、気をもんでいた
ヘブンリーブルーが、やっと咲いてくれた。


ヘブン1
直径7センチくらいの大輪の花。


調べてみると、ヘブンリーブルー(西洋朝顔)は、種の撒き時は
5,6月で、花は8月終わりから咲き始め、暖かければ11月まで
咲き続けるのだそうだから、日本の朝顔とはちょっと違うのだ。
今、グングン蔓が伸びて蕾みもたくさん付いているので、
これからが本番というところだろうか。
それにしても、もう10月だからやっぱり少し、遅い。


由紀子さんからのH
こちらは友人のY子さんから頂いた種を撒いたもの。
直径3センチくらいのミニヘブン。


こぼれ種で咲くミニヘブン
そして、これはそのミニヘブンの去年のこぼれ種が
こんな所まで飛んで咲いた。
実はこれ、門の外の隙間から生えている。
生命力の強さにビックリ。


「蜜蜂日記」を楽しみにしてくださる方に、ここで残念な
お知らせをしなくてはならない。


日本蜜蜂の巣箱がスズメバチに襲われてしまったのだ。

スズメバチにとってミツバチの巣は、格好の餌場なのだそうで
餌場マークフェロモンを周囲の木などにこすりつけ、仲間を
呼び寄せ、数匹集まると、巣の前に陣取ってミツバチを
噛み殺す。わずかの時間で巣を全滅させ、その後中の幼虫や蛹を
数日かけて自分たちの巣に運び込んで、自分たちの幼虫の
餌とする。
現在のうちの状況は、まさに幼虫や蛹を運び出しているところ
だろうか・・・。

スズメバチがもっとも活発になるのは夏から秋にかけて。
つまり今だ。
先日も暑さに強い性質を持つスズメバチがこの猛暑で異常発生
しているとテレビで見たばかりだったが、まさかうちの
可愛いい日本蜜蜂達が襲われるとは・・・。
悲しい・・・・・・

今のところ、長平庵の床下や軒下の巣は無事な様子。
なんとかこちらの巣は残ってほしい。

ところで、蜂と言ってもミツバチと言われるものしか、蜜を
採取しない。スズメバチなどは自分は蜜を吸うが、それを
巣に持ち帰って溜めたりしない。
つまり、蓄えないので越冬出来ない。
今、獰猛に日本蜜蜂の巣を襲っているスズメバチ達も
この冬には皆、死んでしまうのだ。
女王蜂だけが一匹、樹のウロや土中で越冬し、翌春には
また卵を産み始め、新しい集団を作って活動する。

人間が嫌うスズメバチも、自分の巣を守る為に攻撃して
くるのであって、決して悪者ではない。
むしろ、民家近くに巣を作らざるをえなくなった、山や森を
追われた彼らにとっては人間こそ悪者ではないか・・・。

見るからに悪役の顔つきで、体の大きなスズメバチではあるが
その短い一生を思えば、これもまた哀れである。





蜂の帰還

2010年の9月に猛暑で「日本蜜蜂の巣が落ちた」と書いてから
もうすぐ3年になるが、実は嬉しいことに今年春に蜂さんが
巣箱に帰ってきてくれたのだ。

そしてその後、長平庵の床下にも巣を作り、さらに軒下の隙間
からも出入りする姿を発見。
つまり現在、合計3つの巣がある。

蜂の先生、渡辺さんに報告すると とても喜んでくださった。
というのも、先生の所や山の和蜂はかなり数が減ってきている
のだそう。
猛暑のせいか、農薬のせいか・・・事態はかなり深刻らしい。

もともと和蜂は山の木のウロなどに巣を作る。
彼らにとって良い環境がなくなってきているのだろうか?

ともあれ、我が家の日本蜜蜂達はとっても元気。
花の蜜を求めて、さかんに飛び回っている。



鉢団子
日本蜜蜂は同じ蜂でも西洋のものとは、かなり生態が違う。
上の写真で蜂達が団子になっているのが分かるだろうか?
これは巣に侵入しようとした大きな蜂を団子状にくるんで
しまい、熱を発して殺しているところ。


鉢
相手が死ぬと、さーっと解散。
後には、カラカラの死骸が・・・


日本蜜蜂はあくまでも野生。
養蜂場の蜜蜂のように家畜にはならない。
何か環境が変われば、さっさと巣を捨てて移動してしまう。
和蜂さん達にとって、ここが良い環境ならば静かに静かに
見守って、いつまでもここに住んで欲しいものだ。





プロフィール

朋百香(tomoko)

Author:朋百香(tomoko)
1955年埼玉県生まれ東京育ち。
幼少時から学生時代は、水彩、
油絵を学び、結婚後は子育てを
経てのち植物画に魅了され、
個展やグループ展にて発表。
イギリスのフィンドホーンへ
の旅をきっかけに自己の内的
プロセスを描写する、様々な
素材を用いた独自のミクスト
メディア作品制作に入る。
現在は和紙に墨、アクリルで
墨アートを表現している。
神奈川県在住。

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